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リスクマネジメントとそのプロセス

リスクマネジメントの目的

リスクマネジメントの目的は、「企業リスクにより生じる損害が、企業経営にもたらす不確定要素の排除」です。この「不確定要素の排除」はリスクマネジメントの諸施策を実施する場合において重要なポイントとなります。この目的は当然、可能な限り最少な費用で達せられなければなりません。従って、リスクマネジメントの目的は、不確定要素を排除する費用の確定化とも言えます。コストが確定した上で売上や資産拡大に対する相対的な保険料比率等が年々下がっていくことや、競合企業より保険料等の負担が軽いことなどが、リスクマネジメント費用の極小化に繋がっていきます。

リスクマネジメントプロセス

リスクマネジメントの目的へ向けて作業手順を図示したのが、下記のリスクマネジメントプロセスです。

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1.リスクの発見・確認

リスクの発見・確認には、リスクそのものの発見とリスクにさらされる対象物の確認の両方があります。リスクを確認する方法はいろいろとありますが、もっとも一般的なのがチェックリスト方式です。多くの質問事項に一つずつ応答していくことで企業が直面する共通危険が洗い出されます。
次に重要なのが面談と調査です。製造・販売・流通・資金の各現場に直接出向いて行ってリスクを発見することが必要です。それぞれの業種特有のリスクは一般的なチェックリストだけではわかりません。現場で実際に仕事をしている関係者から事情を聴取したり、現場で実地検分することでその企業固有の細かい危険が発見できます。

2.リスクの測定

損害発生の頻度と強度を把握する作業です。あるリスクについてそれが測定可能かどうかは比較的はっきりします。分析の基礎となるデータがしっかりしていれば測定可能ですが、そうでなければ単なる推測となります。頻度が極めて低く、かつ巨額損害が予想されるリスクについての測定は非常に難しくなります。

3.リスクマップの活用

リスクの測定の結果得られたデータを基に、下記リスクマップにはめ込んでいくことで企業の経営陣は自社のリスクプロファイルがどのようなものかを簡単に見ることができます。

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4.コストオブリスク

コストオブリスクは次の費用の合計です。

保険料だけでなく、より広い視野でリスクマネジメント関連のコストをとらえるという点で合理的な考え方であり、保有水準が上がるにつれて保険料部分が逓減するという原則に照らしても説得力があります。

5.保有と保険

リスクマネジメントが軌道に乗ると「保険から保有」へという命題が常に俎上に上がります。保険依存型のリスクファイナンスからの脱却を志向していくわけです。保有については、「意図した保有」、「意図しない(うっかり)保有」、「やむをえない(保険がない)保有」の3種類がありますが、ここで対象とするのは「意図した保有」、つまり保険から脱却せんとする保有です。

企業が損害を保有する動機は何か。一律には言えませんが、保険料の節減が大きな理由といえます。しかし、一方では保有額を上げることによるクレーム処理の手間や社内の資金移動など、従来にはない社内コストがかかる可能性も伴います。この兼ね合いは難しいですが、過去の事故の頻度や種類、損害額などから一定の傾向値を探り、そのデータに基づいて保有を行えば、すなわち保険プログラムを組成すれば、バランスのとれた効果的な保険料節減へとつながっていきます。